ヴィクトール・E・フランクル

夜と霧




はじめの一行

心理学者、強制収容所を体験する

知られざる強制収容所

「心理学者、強制収容所を体験する」。
これは事実の報告ではない。体験記だ。ここに語られるのは、何百万人が何百万通りに味わった経験、生身の体験者の立場に立って「内側から見た」強制収容所である。だから、壮大な地獄絵図は描かれない。それはこれまでにも(とうてい信じられないとされながらも)いくたびとなく描かれてきた。そうではなく、わたしはおびただしい小さな苦しみを描写しようと思う。強制収容所の日常はごく普通の被収容者の魂にどのように映ったかを問おうと思うのだ。
あらかじめ断っておくが、いかにつづられる体験は、あの有名な大規模収容所、アウシュヴィッツ強制収容所ではなく、その悪名高い支所にまつわるものだ。けれども今では、こうした小規模の強制収容所こそがいわゆる絶滅収容所だったことが知られている。

夜と霧(ヴィクトール・E・フランクル)

決してあおるようなまえがきではないけども、強制収容所を内側からレポートすると言われれば、多くの人が関心を示すのではないでしょうか。
この本は、まえがきがどうのという次元ではなく、その著者のシチュエーションだけで人の好奇心を掻き立てるように思います。
それを予想してか、著者は、強制収容所で繰り広げられる地獄を図を描くものではない、と断じています。
ある意味、ここで読者を振り分けしていると言えなくもなさそうです。

本書の内容

心理学者の目で見た強制収容所

本書は、まえがきにある通り、アウシュヴィッツの支所に収容された心理学者による書です。
善良な一市民が、ある日突然強制収容所に連行され、過酷な条件の元強制労働に処される。
この理不尽な状況の中で、人の心はどう動き、どう変化するのか。
それを自らその渦中にいるにもかかわらず、冷静に観察し、それをまとめたものが本書です。

読んでいるといろいろと気づかされることがあります。
たとえば、これほどまでに過酷な状況に陥ると、ひとは感情を失うようです。
目の前で仲間が痛めつけられていても、そのことに心が動かなくなる。
ぼんやりと見つめるだけで、何ら湧き上がる感情がなくなるといいます。
人はそうやって自分の心を守るのかもしれません。

大企業でのありえない不祥事はなぜ起こるか

ここからは私の考察ですが、時折報じられる大企業の不祥事。
実はあれも同じような心理状態があるのではないかと思います。
道徳的な心が働くならとてもではないけどできないようなことを、大きな組織の大きな圧力の中では平気でやってしまう。
顧客や取引先をないがしろにする行為もまた、それをやっても心を痛めないようになる。
そんなカラクリが実はあるのではないか。
そんなことを本書を読む中で感じたのは、ワタシだけではないかもしれません。

人が極限状態にどうなり、このような劣悪な環境を強いられた人の生死を分けるものは何なのか。
本書はそれに答えてくれるのではないでしょうか。

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