はじめの一行
僧侶が書いたお金の本
この本、何が面白いかというと、僧侶が書いたお金の本だという事。
仏教の世界って、なんとなくのイメージですが「節制」というキーワードと結びつきやすくないですか?
私なんかはまさにそんな印象が強い。
特に、密教の世界というと、過酷な修行が前提にあります。
結婚もせず、肉を食べず、毎日が苦行の連続。
そんな密教の阿闍梨がお金について語る。
このアンバランス感は、けっこうおもしろいような気がします。
そういったコンセプトの時点で、売れる要素はあるんじゃないかと思いました。
まえがき
お金に困っている人にこそ伝えたい教え
私たちが日々生活をしているこの世の中には、不公平で、理不尽なことがたくさんあります。
周りの人たちを見回してみても、なぜかお金に恵まれない人、金運が逃げていく人がたくさんいる一方で、それほど努力をしているようには見えないのに、いつも金運のいい人がいます。
この違いは一体何なのでしょうか。
まえがきは、比較的素直に始まります。
定石ともいえる問題提起ですね。
あなたもこんな経験ありませんか?この違いを感じませんか?
ときて、その解決策を示す。
ああ、俺の事だ、私の事だ、と感じさせる一文なのではないかと思います。
本書の内容
阿闍梨が書いたお金の本
「来世で幸せになりましょう。」
仏教の教えって、そんなイメージがありました。
来世のために今がある。
だから、来世のために今を耐える。
しかし、本書ではそれを真っ向否定します。
特に空海密教は、現実の今を生きる教え。
つまり、未来のために今我慢するのではなく、今を楽しむことが大事なんだそうです。
この時点で、ああ、ちょっと気になる感じ、ありませんか?
あの有名な空海阿闍梨が、お金をたくさんゲットしていい。
そういっているなら、「じゃあ、せっかくだから」と受け取りたくなってきますね。
現世は苦しいもの?
本書を読む限りは、現世がつらく苦しく、我慢の連続である・・・
という事ではなさそうです。
私たちは、やりたいことをやり、楽しい事を追求すればいい。
書いてある内容は、今よくある自己啓発の内容とはさほど違いません。
しかし、それが空海密教を極めた阿闍梨が言うのですから、
何となく納得感があるような気がします。
とどのつまり、自己啓発というのは「都合の良い現実」を信じられるか信じられないかが肝になるような気がします。
それを例えば、脳科学者が言えば信じられるのか、阿闍梨が言えば信じられるのか、実業家が言えば信じられるのか。
そういた選択なのでしょう。
そもそも、こういった書籍の古典的名作の中に、ジョセフ・マーフィーがいますが、
氏はキリスト教の牧師さんだったと記憶しています。
それの仏教版だといえば、わかりやすいかもしれません。
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